子供にプログラミングを教えた時の感想

この記事はU-Tokyo mech (東京大学機械系) Advent Calendar 2018の22日目の記事として書かれたものです。

はじめに

 東京大学では毎年五月祭という学園祭が開かれており、模擬店や舞台のパフォーマンスだけでなく学術展示も広く行われています。我々機械系はTechno Factoryという学生有志による企画展示を行っており、僕はプログラミング教室の企画担当をしました。実際に子供にプログラミングを教えてみた時の感想を書きます。

 プログラミング教室の教材製作についての詳細はこちらに書いてあります。

やったこと

 Arduino搭載車をビジュアル言語を用いて動かし、迷路をクリアしてもらうのを目標にしました。子供にif文やwhile文を理解してもらうために、以下の手順で教えました。

  1. 車を前進させる
  2. 車を前進させ、前に壁があると止まる
  3. 右手法の実装

 車には前と右に超音波センサがついており、センサ値を条件分岐させることで前進・右折・左折などの動作を組み合わせます。手順3の右手法というのは迷路の解法の1つで、右手で常に壁に触れながら進むやり方です。

 五月祭当日は、10人まとめて1時間半教える、というのを1日3回行いました。前のスライドで説明し、シフトの人にはこどもに個別に付いてもらいました。年齢制限はしていませんでしたが、大半は小学校高学年の子供+親、という感じで来ていただきました。

気づいたこと

意外と経験者が多い

 機械系と電気系が同じ建物の中で企画展示を行っていることもあり、そういう内容に興味がある子供が来るor意識の高い親が子供を連れてくるパターンが割とありました。数ある企画の中でも長時間拘束されるプログラミング教室を選んでくれる人達なので、プログラミング経験者が多いのは当然といえば当然だったのかもしれません。ラズパイを使ったことがある小学生もいて衝撃を受けました。

ハードの扱いが難しい

 ハードを使うと子供に説明する内容が増えます。車が動く際のセンサやモーターの役割や、Arduino周辺のお話(ピン指定とかPWMとか)を何となくでいいので理解してもらう必要があります。五月祭では「0~255の値の大きさを変えると、左右のタイヤが回るスピードも変わるね!」みたいなクッソ雑な説明をした記憶があります。ゲーム内のキャラクターを動かすのとは違って、車には個体差がありパラメータ調整が必要になってくるので子供には少し難しいところだと思います。

 低予算で済ませるためにタミヤの工作キットを使い教材の車を作ったのですが、下の写真のように、どうぞ壊れてくださいみたいなフォルムをしています。はんだ付けや配線がぐちゃぐちゃですぐにワイヤが取れ、子供に待ってもらい修理することが数回ありました。ハードを作るとメンテナンスが必要になってくるので、教える人とは別に人員を割いておくべきでした。めっちゃLEGOマインドストーム使いたかった

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 また、Arduinoやったことある人ならあるあるかもしれないのですが、パソコンに接続するときにポートが選べないとかドライバを更新しなきゃいけないとかで手こずった時には自分の情弱ぶりをひしひしと感じました。

親に任せる

 ArduBlockというビジュアルプログラミングツールの操作方法や、実装したいアルゴリズムなどについては何度も説明しなきゃいけないところだと思っていたのですが、1回説明すると後は親御さんが子供と一緒にやってくれたので意外とスムーズに進みました。また、単純にパソコンを使ったことがない子供に対しても親御さんがキーボードやマウス操作を手伝ってくれたので何とか良い感じに進めることができました。ビジュアルプログラミングを使うなら子供がマウス操作だけすればいいものを作るべきでした。プログラミングや電子工作のプロみたいな親御さんの子供には何も教えることがなくて楽でした笑。

変数や関数の説明がわからん

 小学生の算数では変数や関数などの概念がないはず?なので説明するべきところなのですが、結局どう教えたらいいのか分からないまま終わってしまいました。「〇〇(変数名)というところに〇〇(数字)が入りまーす!」くらいにしか説明していなかったんですが、どうすれば良かったんですかね...

子供は「楽しい」が第一

 子供は車を動かすのに夢中で、あまりアルゴリズムとかの方には興味を持っていないイメージでした。最終的にはほとんどの人が数値を少しイジって車の挙動を観察し、迷路をクリアすればやったー!みたいな感じになっていたと思います。時間が1時間半と制限されていたので、プログラミング教室というより実質ラジコン体験コーナーになっていましたが、子供が楽しめるという点ではこのほうが良かったのかもしれません。

最後に

 僕自身企画を持つのが初めてで、ものづくりが不得手だったこともあり企画に関わってくれた皆さんには大変迷惑をかけてしまいましたが何とか五月祭を終えることができました。ありがとうございました。